“失敗”体験からの学び──コーチングのセッションで「不安になった」と言われたら

コーチング

先日、コーチングスクールの受講生さんとペアを組み、「セッション練習」をしたときの話です。アシスタントとしてクラスに参加した私がコーチ役でセッションを進め、目標設定をした後、ごく型通りに

「ここまで話してみていかがですか?」

と尋ねました。すると、受講生さんが

「目標が達成できたら素敵だな、と思う半面、何を甘いことを考えているんだろう、と不安になりました」

とおっしゃったんです。

えええーー!! 私、不安にさせちゃったの!?
超・パニック。わきの下をいやな汗が流れ、頭の中は真っ白。。。

どうにかセッションを終えた後、講師の先生から感想を聞かれ、

「途中でセッションの方向性を確認したときに、不安になったと言われて、パニックになってしまいました……」

と、自分の未熟さをかみしめながら話すと、

「そうかー、パニックになっちゃったか!
じゃあ、クライアントさんに『不安になった』と言われたとき、どう対応すればよかったか、一緒に考えてみましょう」と、私の“失敗”をテーマに授業を展開していただきました。

コーチングの基本は、一にも二にも「承認」!

コーチングには「ストラクチャー」という「基本的な流れ・型」のようなものがあります。今回のセッションは受講生のための練習ですので、できるだけ基本に忠実に、と意識しながらセッションを進めていました。

コーチングセッションでは、最初に「目標設定」を行います。ストラクチャーに従う形で、受講生さんにとって魅力的な、ワクワクするような目標を設定し、その目標を達成したときのイメージを明確にして……という手順で話を進めていました。受講生さんからは笑顔が出て、声も力強くなり、ポジティブな未来像を一緒に描けたという手ごたえを感じていました。

なので、「ここまで話してみていかがですか?」と尋ねたときも、「きっとポジティブな返答があるはず」と思い込んでいたんですね。だから……

「不安になりました」

という返答が予想外で、その先のプランが崩れてしまったんです。

講師の先生は、「コーチングに正解はないから『こうしなきゃダメ』というわけではないけれども」と前置きしつつ、「例えば私だったらこうするかな」と、いくつかプランを話してくださいました。

そのプランを聞きながら、気づいたんですよ……!

「私、コーチングの基本のキができてなかった!」(がーーん)

そうです。「承認」です。

「不安になった」というクライアントの発言、状態が受け入れられず、認められずに、その先の話が頭に入ってこなくなってしまっていたんです!

「不安になりました」と言われた後、

「そうですか、不安になったんですね」

型通り、そう答えたように記憶しています。

でも、それはただ「型通りに応答した」だけで、真に承認したわけではなかった

だから、そのあとは、クライアントの話を「聴く」ことができなくなりました。クライアントに集中して、クライアントが考えや思いを表明できるようにサポートしたり、真の関心ごとを突き止めたり、言葉以外のものを聴き取ったり、といったアプローチができなくなっていたんです。

それ以降の私は、クライアントを見ずに、自分を見ていたんですよ。

ダメな自分、未熟な自分、できない自分、授業なのに恥ずかしい、学びの場なのにちゃんと型通りにこなせずに申し訳ない、こんな私がアシスタントでごめんなさい、なんでわざわざこんなことをしているの? 私より適任のアシスタントは大勢いるのに、講師や受講生の期待に応えられず申し訳ない、情けない、……なんてところに囚われて。

こんな状態に陥らないようにするたった一つの方法。それが「承認」だったんです。

「現状把握」の主役は、コーチではなくクライアント

まず、クライアントさんが「不安になった」とおっしゃったことを認める。その上で、

その「不安」という言葉が、本人にとってどういう意味があるのかを確認する。「私なら、そういう流れでセッションを進めるかな」と、講師の先生。

具体的には、こんな質問が考えられます:

「〇〇さんが不安になるのは、例えばどんなときですか?」

「これまで不安になった時は、どうやって向き合っていたんですか?」

「不安を乗り越えたときは、どんな気持ち?」

あるいは、ずばりと直球で聞いてしまう。

「そもそも、〇〇さんにとって不安ってどういうものですか?」

あえて、こういう質問もアリかもしれない。

「もしも、その不安を1カ月抱えたまま過ごすなら、どんな気持ちがしますか?」

「もしそういう気持ちになるとするなら、どうしてみたいですか?」

こうした質問をする目的は、クライアントに考えてもらうこと。「今、私、『不安』って口にしたけれど、どういう気持ち・状態からこの言葉は出てきたんだろう?」と。考えるからこそ、今の自分の状態を発見できる、再確認できるわけです。

質問の目的は、コーチが確認するためではなくて、クライアントに再確認してもらうこと、なんですね。

現状把握のための質問というと、つい「コーチがクライアントの現状を把握する」ことが目的だと思ってしまいがちなのですが、そうではなくて、「クライアントがクライアント自身の現状を把握する」ことが目的。そこをはき違えないようにしないといけないなあ、と、改めて学ぶいい機会になりました。

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