正解は、【3】の睡眠休養感です。
健康の維持・増進に役立つ新しい睡眠指標
睡眠休養感とは、睡眠によってどれだけ体が休まったと感じたか、を表す指標。よく眠れた翌朝、心身が回復して「ああ、しっかり休養できたな」と感じた経験があるかと思います。その感覚(睡眠によってしっかり休養できたな、という感覚)が、睡眠を評価する新しい指標として注目されています。
睡眠の指標というと、「睡眠時間」を思い浮かべる人が多いかもしれません。5時間しか寝られなかったから睡眠不足だ、とか、8時間も寝たから休息十分だ、というふうに。
でも、「適切な睡眠時間」には個人差があります。7時間寝れば十分に休息がとれる人もいれば、7時間睡眠では十分に心身が回復しない人もいます。
また、同じ「7時間睡眠」と言っても、ベッドに入って翌朝目覚めるまでぐっすり眠り続ける人もいれば、ベッドには7時間いたけれども寝つきが悪かったり途中で目が覚めたりして、実際に眠っていた時間はずっと少ない人もいます。
そうした「睡眠時間だけでは測れない、睡眠の質の評価指標」として開発されたのが「睡眠休養感」なのです。
評価方法は簡単! 「普段の睡眠で休養がとれていると思いますか?」という質問に対して、1(全くとれていない)から5(よくとれている)の5段階で答えるだけです。脳波を計ったり、睡眠中の体の動きをチェックしたり、なんていう検査は必要ないのが手軽でいいですよね。
睡眠休養感が低いと死亡リスクが高い!?
そしてこの「睡眠休養感」は、手軽に調べられるだけでなく、将来の健康リスクの評価にも役立つことがわかりました。
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)精神保健研究所の吉池卓也氏らの研究からは、睡眠休養感が低い(1~2の)人では死亡リスクが高いことがわかりました。
興味深いことに、この関係は、働き盛りの世代(40~64歳)と高齢世代(65歳以上)とでは若干の違いがありました。睡眠時間を、実際に眠っている時間(実睡眠時間)と、実際は眠っていない時間も含めた「ベッド内時間」(床上時間)に分けて評価したところ、働き盛り世代の場合、「実睡眠時間が短く、かつ睡眠休養感が低い」人で、死亡リスクが高くなっていました。一方、高齢世代では、「床上時間が長く、かつ睡眠休養感が低い」人で死亡リスクが高くなっていたのです。
働き盛り世代でも高齢世代でも、健康のために睡眠休養感は大事。それに加えて働き盛り世代では、睡眠時間も十分に確保することが大切になります。一方、65歳を過ぎたら、眠れないのにベッドの中でゴロゴロしているよりは、さっさと起き上がってベッドから出る方が健康にいいみたいです。理由はわかりませんが、横になっているだけで筋肉も骨量も減少しますから、そういうフレイル的な影響もあるのかもしれませんね。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、下記のサイトから入手できます。ぜひ読んでみてくださいね!
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